木乃香のブログ

越前和紙の里

越前~金沢の旅 * 越前和紙の里 編

先週20~22日まで、お休みを頂いて越前と金沢に旅行に行って来ました。
3日間もお休みしたのでやることが溜まってしまい、旅日記が遅くなってすみません。

前からずっと越前和紙の里に行きたいと思っていました。和紙を扱っているのですから、やはり一度は越前和紙の産地を訪ねてみたかったのです。今年になってお取引の和紙屋さんから、蔵を改造した和紙のギャラリーOPENのご案内を頂き問い合わせたところ、快く訪問を受け入れてくださいました。
私事ですが、長い間病気療養をしていた妹がいて「治ったらどこか一緒に旅行に行こう」と話していました。行先は勝手に越前と決めていましたので、これは行くっきゃない!と思い、やっと念願の旅が実現しました。
まずは越前和紙の旅のおはなしから。。。

越前和紙 – 蔵のギャラリー

上の写真は越前市の『和紙の里』卯立の工芸館で、この辺りにはこの様な造りの古い建物が沢山残っています。
今回ご案内頂いたのは越前和紙の老舗、杉原商店さんの社長さま。
蔵-和紙ギャラリー
和紙の里を抜けてずっと奥に進むと、100年前の蔵がどーんと姿を現しました。門構えも立派で、どこかの時代にタイムスリップしたようでした。
蔵の中に入るとまずは巨大な和紙のタペストリーがお出迎え。
杉原商店-和紙の蔵ギャラリー_1
これは継ぎ合わせではなく一枚で漉いているそうです。ス…凄い!
そして、壁際と中央のテーブルには和紙の原料や様々な和紙の製品が並べられていました。
杉原商店-和紙の蔵ギャラリー_2
奥にある蓋つきの木箱は『長持』を改造した商品棚で、中に照明を取り付けて和紙を展示していました。私は時代劇が好きなので花嫁道具の長持は知っていましたが、こんな風に利用するなんて…ステキ ˖✧
また奥の壁には天井からこれまた素敵な巨大和紙が飾られていました。
杉原商店-和紙の蔵ギャラリー_3
和紙もさる事ながら、建物内の梁や柱の立派なこと。状態が綺麗なので、磨きを掛けたのですか?と質問したら、そのまま何もしてないそうで、とても大正時代に建てられた蔵とは思えない保存の良さでびっくりしました。蔵にはキッチンもあって、社長自ら立ててくださった抹茶を頂きながら和紙のお話をしました。当日は晴れて結構蒸し暑かったのですが、蔵の中は快適で、古いアンプから流れるジャズの音色が心地よく響いていました。

越前和紙 – 岩野平三郎製紙所

ギャラリーを出て次に向かったのは、岩野平三郎製紙所。 とても大きな和紙の工房です。
和紙の原料-楮
原料の楮の皮が大きなバケツに積まれていました。水に漬けただけではまだ固い皮が、煮ることで繊維がほぐれ易くなるそうです。

和紙作り作業-塵取り
中ではお母さんが一人で雁皮の塵を取っていました。この工程はとても大切で、皮などのチリが入っていると良い和紙にならず、人の手でないとできない作業だそうです。ぅわぁ…大変。
その繊維を水に入れてトロアオイのとろ~んとした粘液を加え、よ―く掻き混ぜて紙を漉くのだそうです。
次の作業場では、大きな舟の様な桶?で、襖大ほどの和紙を二人がかりで漉いていました。
岩野平三郎製紙所 - 紙漉き
息をピッタリ合わせないと上手く漉けないそうですが、紙を漉く→台に布を敷く→簀を二人で持って台に重ねる→簀から和紙を台に移す、という作業を声も掛けずに黙々と作業しているので、どこで息を合わせているのだろうと不思議でした。
次は乾燥。
岩野平三郎製紙所 - 和紙の乾燥
先ほど重ねたものを圧縮して水切りしたものから布を剥がして、和紙を板に移し、空気を抜いて大きな乾燥室へと運び入れていました。とにかく工房が広くて、こんなに大勢の方が働いていることに驚きでした。 工房の皆さん、ありがとうございました♪

人間国宝 – 岩野市兵衛さん

素敵な工房に案内してくださって、和紙作りの工程を間近に拝見することができて、とても満足していた私。そしたら急に「市兵衛さんのところに行ってみる?」と聞かれ…ぇえー!? そんな、人間国宝の岩野市兵衛さんにお会いすることができるなんてー! ハイ♪ と即答でした。
和紙の人間国宝 - 岩野市兵衛さん
工房へおじゃますると、市兵衛さんが奥様と並んで楮の塵取りをしてらっしゃいました。やはりこの作業に一番時間が掛かるそうで、何日もご家族で塵取りをしているそうです。沢山和紙のお話をしてくださいましたが、中でも一番印象に残ったのは、先代からの『ずるはするな』(工程を守れ)という教え。「手を抜かずに、ただただ工程を守って紙を作ってきただけだ」とおっしゃっていました。 作業中にも関わらずお話して頂いて、本当にありがとうございました。

紙の神様 – 岡太神社・大瀧神社

さて今回の越前和紙の旅で、絶対に忘れちゃいけないと思っていたのは紙の神様へのお参り。
この地に紙漉きの技を伝えたと言われる女神「川上御前」をお祀りしている岡太神社(おかもとじんじゃ)と大瀧神社です。鳥居をくぐると樹齢何百年ともわからない木々がうっそうとそびえ立つ中に御門がありました。
岡太神社 大瀧神社-御門
もうこの辺りから空気が違うのです。また少しずつ正面の階段へ近づくと拝殿が目に飛び込んで来るのですが、それはもう凄い!龍が迫ってくる感じで、その見た目の迫力だけでなく、生きてる、何かいらっしゃる感じで写真が撮れませんでした。ネットで見ていたのに迫力が全然違いました。下の写真は帰り際に撮ったのですが、圧倒される空気をお伝えできないのが残念です。
岡太神社-大瀧神社 拝殿

お参りしてから全体を眺めると奥の本殿は拝殿と一体化した建物で、どの様に設計したのだろうと思う程、複雑な屋根の形をしていました。
岡太神社-大瀧 神社
奥の樹木は山自体が神様として信仰されているため、枝打ちはしていないそうです。 神の宿る森の神社という感じでした。
杉原さま、蔵のギャラリーを始め、紙漉き・神社と勿体ないほどのおもてなし、本当にありがとうございました。美味しい地元のおろし蕎麦もご馳走さまでした♪

越前 和紙の里

その後、私たちは和紙の里に向かいました。「卯立つの工芸館」(トップの写真)では、ちょうど地元の小学生が社会科見学(紙漉き体験)に来ていました。先生の話によると学校でも紙漉きができて、学年によって漉くものが決まっていて、5年生になるとこの工芸館に来て紙漉きを体験し、6年生になると透かし入りの卒業証書を自分で漉くのだそうです。
素敵だなぁ~伝統を無理なく伝えていくシステム。この中からきっと紙漉き職人が生まるのでしょうね。
越前和紙の里では、「文化博物館」で越前和紙の歴史に触れたり、「パピルス館」で和紙製品を買ったり、紙漉き体験もできます。のどかな風景と共にゆっくりと時間が流れ、しっかりと伝統を伝える素敵な越前和紙の里の旅でした。

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